【開催レポート】2019夏休みスケート教室 / Get in ice 予行演習編:2019年8月11日
NPO法人アイススポーツ鳥取主催「夏休みスケート教室」が、今年も2018年8月11日(日)12:15~13:45に、岡山国際スケートリンクにて開催されました。
今年で12回目となる岡山での夏のスケート教室となります。
12年前のスタート時は鳥取から数家族が参加してのこじんまりした「夏休みスケート教室」も、今では同伴者やスタッフを合わせると80名を超える賑やかなイベントです。
毎年参加の無良崇人氏は浅田真央サンクスツアーとの日程調整ができず、今年は不参加での「夏休みスケート教室」となりましたが、それでも参加申込が定員オーバーとなる大盛況。
以前は子どもの参加率が高かったのですが、近年は大人スケーターの個人参加が増えてきているのは、全国的な流れでもあります。
そして今回は、コーチ陣や鳥取のスタッフにとっては、2週間後に開催するチームオレンジチアーズスペシャルイベント「Get in ice」の、予行演習や様々なテストも兼ねての開催。
ちなみに、チームオレンジチアーズの川原 星氏も現役選手時代には、この夏休みスケート教室に氷上スタッフとして参加してくださっていました。
■全国各地から過去最多となる参加者数
今年のスケート教室は、朝から30℃を超す晴天の真夏日。
今年も全国各地から沢山の方が岡山国際スケートリンクに集まってきました。
鳥取から参加される方々だけでなく、これまでスケート教室に参加されたリピーターの方々、8月29日開催のGet in iceの事前練習の為に参加される方々、全国各地からお越しいただいた新規参加の方々まで、過去最多の参加者数。
中にはユーリオンアイスのコスチュームやグッズを身に着けた方もチラホラと見られ、待合時からすでに笑顔溢れる賑やかな雰囲気も。
インストラクター陣が見回りをして、初心者の方や小さなお子様へは、スケート靴の履き方をレクチャーして安全確認。
怪我の無いスケート教室にするため、開始までは、スタッフにとって大切な安全チェックタイムです。
そしていよいよ開会式の時間。
インストラクターの無良隆志先生、NPO法人アイススポーツ鳥取の藤野理事長の挨拶が終わると、参加者全員がリンクサイドに場所を移し、スケート教室のメインインストラクターの無良千絵先生を中心に、まずはしっかりと準備運動からスタート。
そして、いよいよリンクインの時間です。
■今年は3つのレベルでクラス分け
今年は各参加者の実力を自己申告制で、「全く滑られない」「一人で滑られる」「バックで滑られる」という3つのクラス分けによる申込みにしました。
・ 全く滑られないクラス = 22名
・ 壁に触らずに滑られるクラス = 20名
・ バックで滑られるクラス = 17名
例年は、スケート教室当日に自己申告制でクラス分けをしていたのですが、今回は参加申込みの時点で希望クラスを選択していただきました。
3つのクラス分けを採用したのには、過去のスケート教室で、2クラス制と3クラス制でどちらの年が満足度が高かったか、過去の参加者の感想も参考になりました。
このクラス分けの事前申込システムは、「Get in ice」に向けて、クラス別参加人数の割合把握・スタッフ配置予測・レッスンのタイムスケジュールテストなど、インストラクターやスタッフ側にとって、とても役立ちました。
■全く滑れないコース=初心者クラス
このクラスのメインインストラクターは無良千絵先生、サポートに奥岩加奈子インストラクターと、鳥取のフィギュア選手やアイスホッケー選手OB。
まずは、「氷の表面に腰を下ろして、氷の表面がどうなっているのか見てみよう。」というところから始まり、こけた状態から立ち上がるまでの動作を覚えます。
・1、腰を下ろす
・2、両膝をつく
・3、片膝をたてる
・4、両足でゆっくりと立ち上がる
滑るのが最初ではなく、こけた時に「立ち上がる」のが最初に覚える動作。
こう覚えることで、こける事への心配も一つずつ解消されていきます。
そして、立ち上がることを覚えたら、次は「足踏み」の練習。
足をリズムに合わせて動かすことで、ほんの短時間で、壁に触ることなく前や横向きに歩きながら進んだり、方向転換ができるようになりました。
ここでも、滑るのが最初ではなく、ゆっくりと歩くのが最初。
手を使ってバランスを上手にとる感覚も、徐々に身についてきます。
そして、いよいよ蹴った反動で前に進む「滑る」という動作を身に付けます。
ここで覚えるのは、両足で進みながらバランスを取る両足滑走。
ここまでが一人でしっかりと出来れば、一つ上のクラスのレベル。
参加者の方たちもホッと一安心で、少しずつ笑顔が出始める時間帯です。
論理的な説明をするのではなく、子どもたちにも分かりやすい動作で順番に覚えていくパターンは、傍から見ている方が「なるほどね。」と論理的に解釈して感心するのも、毎年のお決まりパターンです。
ここから先は、初心者の次ステップとなる動きにチャレンジ。
まずは、俗に「ひょうたん」と呼ばれる動き。
「両足を広げて → 閉じる」という動きをしながら、氷上に「ひょうたん」の形を描くようにゆっくりと繰り返すと、自力でスピード調整しながら進めるようになるので、初心者が序盤に身に着ける動きの一つです。
うまくできない参加者の方には、鳥取の選手やスタッフがマンツーマンでサポート。
そして最後は、「バック」の進み方の基本を覚えたあたりでタイムオーバーでレッスン終了です。
毎回このクラスは一番参加者が多く、小さなお子様も参加しているのですが、全く滑ることができない参加者が、たった1時間程度のレッスンで見事に一人で滑ることができるようになるので、同伴で来ている保護者の方などからは「魔法でも見ているみたい」とも言われることも。
ただ、どうしても恐怖感が先にたってしまう大人の参加者の方には、そのテンポの速さに「ちょっとスパルタだった」というような評価をいただくこともありますが、もちろんその後に「でも、今まで一度も壁から離れることができなかったのに、リンクの真ん中まで行けるようになって嬉しい」という風に評価は続きます。
このテンポの速さは、恐怖心を感じさせないためのレッスン法でもあるので、そう感じて頂けたなら大成功という訳です。
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■壁に触らずに滑られるコース
こちらのコースは、先ほどの初心者コースの次ステップとなるクラス。
初心者コースが基本動作を「やってみる」というレベルであれば、こちらのコースはその基本動作のコツを学び「うまく滑る」為のコース。
この中級クラスは、短時間での成長度合いが高いコースでもあり、終わった後のアンケートで一番満足度が高いのが特徴です。
大人と子どもの参加者では言葉で伝わる理解度が変わってくるので、今年はさらにスムーズに進行する為に大人と子どものグループを分けてのレッスンスタート。
〇大人グループ
まず大人グループの担当インストラクターは、無良隆志先生。
サポートとして、鳥取の齋藤司先生。
基本的な動きを、楽しく理論的に説明しながら、頭と身体で覚えていくスタイル。
まずはテンポに合わせて足踏みをしながら、バランスの準備運動が終わったら、壁押しバックの動作練習。
次はそこからの流れで「ひょうたん」にバックの動きをプラスしたレッスン。
一人ずつ確認しながら、先生が声掛けしながら修正し、膝の使い方やエッジの傾きなどのコツを覚えていきます。
エッジの使い方のコツを少しつかんだら、いよいよ片足でバランスを取りながら滑る「ストローク」の基本動作のレッスンです。
片足で滑ることができる時間はまだまだ短いものの、何となく形になってきました。
ここで無良先生から「この中で自転車に乗れない人はいますか?」という質問。
これは片足に体重をかけて「両足カーブ」の練習する為のイメージの説明。
自転車で曲がる時の身体の傾きと体重移動をイメージしながら両足で滑ると、自然と曲がれるようになるので、まずはみんなが自転車にまたがった気分でイメージトレーニングした後に、実際に滑って体感します。
ここまで出来るようになったら、片足に重心を乗せるイメージもついてきた段階。
ここで、今度は皆が集まって円陣に。
両足カーブの練習で片足に重心をかける動きの延長上で、今度は足を交互に入れ替えるクロスの動作説明。
ここでも、となりの人と手をつないだ状態で一歩ずつ足を入れ替えながら周り、クロスの基本動作をイメージで理解します。
頭で分かったら、各自がバラバラになって実際にクロスの練習。
もう少しでできそうな方には、一人ずつ声をかけながらちょっとしたコツをアドバイス。
そうしているうちに、こちらのコースも時間終了。
皆さんの笑顔を見ると、レッスンに手ごたえがあった様子。
〇子どもグループ
そして同じく「壁に触らずに滑られるコース」の子どもグループのメイン担当は、鳥取県スケート連盟の岡本哲彦先生。
そして、鳥取の中学生選手たちがサポート。
こちらも大体の内容は同じながらも、理論的な説明はなく、先生の動きを真似しながら、身体で動きを覚えていくスタイルのレッスンです。
何度もチャレンジして失敗しながらコツをつかんでいくことで、子どもたちは飽きることなく、笑顔で動きを習得していきます。
中には、「これ前にもやったことあるから簡単だよ。」といいながら、軽々とこなしていく子も。
早くできる子は、褒めてもらえることで喜びを感じ、少し時間のかかる子たちは、鳥取の中学生選手たちにコツを教えてもらいながら、一緒にレッスン。
片足で滑るストロークの練習も、「イナバウアーって見たことがある?まずは壁でマネをしてみようか?」「今と同じ姿勢でちょっと片足を後ろに上げながら滑る事ができるかな?」「スケートは両足で滑る時間よりも、片足で滑る時間の方が長いんだよ。」「その片足の姿勢でどこまで行けるかな?」という風に、少しずつ次の動きへと繋げながら練習。
初心者コースと同じステップアップ式のレッスン方法なので、子どもたちにも目標が分かりやすく、短期集中しながら覚えて行くことができます。
そして、ほとんど大人と同じ流れの基本動作を時間いっぱいまで覚え、最後までみんなが笑顔で滑りきってレッスン終了。
■バックで滑られるコース
今回の初心者向けスケート教室で、一番レベルが高いのが、すでに参加者全員がバックで滑られるこちらのクラス。
担当インストラクターは、宮崎勇人先生と、サポートには昨年まで鳥取県スケート連盟選手だった齋藤舞さんや現役選手。
こちらのコースは、両足滑走でのアップが終わったら、まずは「ストローク」練習からスタート。
真ん中のクラスではストロークに苦戦していらっしゃる方が多いのを見ると、このクラスの皆さんはかなり様になっている様子。
ここからは、一つの動作レッスンの初めに参加者全員が集まり、先生が基本動作の説明とお手本を披露。
それを頭で理解した上で、2つのサークルに分かれて実際に滑ってみるというスタイル。
ストローク→両足カーブ→バック→フォアクロスと、次々とステップが進むレッスンを、真剣な面持ちで練習する参加者の皆さん。
子どもたちもスケート教室経験者が多く、慣れた滑りです。
そんな参加者の方に並走する形で、先生たちがコツをアドバイスするスタイルも、このクラスならでは。
どうにもうまくできない参加者から質問が入ると、その場で先生たちが再度実演披露して、細かい足や膝など身体の動かし方を説明することで、参加者の方たちも理解度がグンと深まり、どんどんと吸収している様子が見てとれます。
そこから、スピンの基本動作と最初の動きだしの説明を、先生やスタッフの実演付きで説明。
ここまでくると興味深々で、参加者の方の質問ポイントも細かくなってきます。
そして、最後にバニージャンプなどワンステップ上への扉を開いたところで、レッスン終了。
こちらも満足度いっぱいのレッスンとなりました。
■マイムマイムでダンスタイム
いつもならスケート教室のレッスンが終わったあとに、すぐに長めの自由滑走に移るのですが、今年は何と新コーナーの「マイムマイム」ダンスタイム。
当日の参加者の方には唐突に感じられたかもしれないこのダンスコーナーですが、これは、2週間後に開催されるイベント「Get in ice」のマイク・音響テストを含めた「QUEEN ダンスコーナー」の予行演習です。
今回は皆さんがよく知っている定番フォークダンス「マイムマイム」を氷上で楽しもうというものなのですが、音楽に合わせて決められた振付をするというのは、現代のフィギュアスケートの基本。
せっかくスケートを滑ることができるようになった次のステップとして「皆でフィギュアスケートの基本を一緒にやって楽しもう」というのがこのコーナーのコンセプトです。
まずは、全員で一緒にマイムマイムのステップを覚えてもらいます。
大体ステップを覚えたら、次に参加者の皆さんにしていただくのは、以下の4つの行動。
1、スケート教室で分かれた3つのクラスでサークルになる
2、となりの人と手をつなぐ
3、音楽に合わせてリズム良くステップを踏む(ゆっくりテンポ)
4、テンポを上げて通常スピードでもう一回
決められたルールと時間の中で、3つのグループがそれぞれどこまで楽しむことが可能なのか?というのがインストラクター陣と私たちスタッフが知りたかった内容でした。
そして、各クラスの結果は以下の通り。
【初心者クラス】
参加者同士が近くに寄って手をつなぐことが難しく、ステップもうまく踏めなかったものの、参加者各自が表現方法を工夫して楽しみながら終了!
【一人で滑られるクラス】
手をつないだ方たちが連鎖して転倒しそうになり、ステップが崩れたもの、何とかノリと勢いを失わず最後までダンス終了!
【バックで滑られるクラス】
さすがに綺麗なサークルで手をつなぎながら上手にステップが踏めて、最後は歓声付で盛り上がって終了♪
ここで撮ったビデオを、後日にインストラクター陣やチームオレンジチアーズメンバーと見ながら、
「へぇー、なるほどね。同じ初心者でも、少しのレベル差によってここまで大きな差がでるんだね。」
「最初は手をつなぐのはやっぱり難しいか。」
「みんなが足元に集中しすぎて楽しめてないから上半身中心のダンスの方が良いかも?」
「恥ずかしがっている人もいるから、Get in iceではどちらを向いてダンスするかも工夫が必要かな。」
と、皆様のおかげで「Get in ice」へ向けて、色々なヒントをつかむことができました。
■記念撮影 ~ 自由滑走タイム
さて、マイムマイムコーナーも終わり、ホッとしたところで、参加者全員での記念撮影。
参加者の方も年々多くなり、近くからではファインダーに収まらなくなってきたのも嬉しい話。
今年は「Get in ice」の予行演習も兼ねて、定員よりも少し多い申込者の方を受け入れての、過去最多となる参加者人数での開催となりました。
そして最後には参加者全員が、リンクを大きく周る自由滑走タイム。
自分がどれだけ滑ることができるようになったかを実感しながら、それぞれのペースで周回滑走。
先ほど覚えた動きを何度も試している方も多く、自分の修正ポイントや滑りのコツをしっかりとつかんだ方もいらっしゃる様子でした。
今年は、8月29日開催の「Get in ice」があった為、例年よりも遅い「夏のスケート教室開催レポート」になってしまいましたが、今年も参加者全員が笑顔で無事に終えることができました。
後日集計した参加者アンケートでも、参加者の方の満足度の高さを伺える結果となりました。
今年も、全国各地からスケート教室にご参加いただいた皆様、ご協力いただいた先生方、そして鳥取・岡山のスケート関係者の皆様、岡山国際スケートリンクのスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
特に今年は一夏2イベント開催。2週間後に「Get in ice」も控えており、もしかしたら夏休みスケート教室の方は参加者が少なくなってしまうのでは…というような心配もしていましたが、そんな心配も必要ないくらいの申込数と盛り上がりでした。
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